誰彼

20170306

六本木ヒルズのメトロハット近くに置かれた猿らしき彫像は、どうやら天を指さしている

見上げて空を指させば、そこにあるのは月星あるいはマボロシか

この頃は寒さのせいもあるけれど

むしろ本をもっとたくさん読みたい欲求がつのりつのって

電車で通勤するようにしているために

速度は徒歩

風景は徒歩に流れて過ぎてゆく

徒歩の良さは確かな一歩、紛れもなく等身大の一歩だけを進むことができること

それはきっと古来ギリシアの頃から変わらぬ

人というもののおおいなる知の蓄積がなされても同様

その頃から人はきっと天を見上げて指さしただろう

そこにマボロシを見ただろう

いくらどんなふうに世界が変わってしまっても

変わらぬものはそのままに

今までたくさんの人が死んでいって

毎日通勤電車に乗っている誰彼もあと100年したらきっと死んでいる

けれども変わらないものは先人たちが残してくれたもの

そんなマボロシを見上げて指さす赤子のようにいたのは猿らしき彫像

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