空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日

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天の高みに至りたいという欲望は、人の根源的なものだろうと思います。それがたとえ命を張ることであったとしても。逆に命を張るがゆえ。

ジョン・クラカワー著『空へ』は、1996年のエヴェレスト登頂の記録。荒天に見舞われ、多数の命が奪われる様が、痛々しく描かれゆきます。読めば読むほどひりひりと辛くなってゆくのですが、高度8000m超の「into thin air」の極限は、自然における人の無力さと共に、過酷な環境下、人は何を思うのかが刻銘に描かれ、ページをめくらないわけにいきません。

心に留めたい言葉をふたつほど。

だが、ときにはふと疑問に思うのだ。

自分が本当に求めているものは、あとに残してきたもののなかにあったのだ、ということを発見するために、こんな遠くまではるばるやってきたのだろうか、と。(P78)

「大きな夢をいだいている人もいれば、ささやかな夢をいだいている人もいる(中略)いだいているものは何だっていい、大事なのは、夢見ることをとちゅうでやめないことだ」(P126)

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