”当たり前”はどこにある?~『となりのイスラム―世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代』

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このところイスラム世界関連の書籍の出版が増えていて、それは世界各地で起きているテロや、伴って世界的問題となっている難民の影響があるからだろう。日本に生まれて日本に育ち、ほとんど知らなかったイスラム世界のことを、わかりやすく解説してくれるのが本書。

そんなのは海の向こうのお話だよ、とは言い切れない現代だからこそ読んでみた。案の定知らないことばかりで、根本からの考え方が違う、ということに気付かされる。そして海外旅行に行くとあらためて日本のことを考え、自分が否が応にも日本人であることを気付かされるように、新たな視点を得ることができる。

イスラム教徒の皆が皆、暴力に訴えるわけはない。ごくごく一部の極端な思想を持つ集団が、世界を暴力による負の連鎖に招いている。西欧世界はその連鎖に対し、暴力でもって対抗しようとしている。

筆者は「そうではない」と主張する。イスラム教徒はそもそもが神のもとに皆が平等で、わけ隔てすることはない。善行を重ねることを良しとし、たとえば人助けをすると、助けた側の人が善行を積むことができた感謝として「ありがとう」と言うような人たちだ。先入観で判断することはせず、きちんと理解したうえでお互いを認め合っていこうと、筆者は本書を通して訴える。

現代の世界は多様化を是とする方向に向かい、多くが開かれていこうとしている、のだと思う。より良い方向に向かっていこうとは、誰もが思っていることだろう。その多様化へのひとつの理解として、読んでおきたい一冊だ。

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