新感覚立ち食い蕎麦店との邂逅―西新橋「そば処港屋」

minatoya

先日愛宕山のことを書いてfacebookに転載したところ、バンドメンバーのローディ横田氏より「愛宕には美味い蕎麦屋がありますよ」とのこと。「食べたあとの罪悪感が用心棒並み」とのコメントに動かない私ではない。というかそういう有難いお知らせにはむしろ軽やかに動くスタンスでありたい。

平日のみの営業とのことで、タイミングの合った平日の休憩時間、自転車で六本木から虎ノ門へ。山を下って15分くらいで到着。

店内含めて10人くらいの列ができていたが、立ち食いなので回転は早く気にならない。気になったのは店内の雰囲気。薄暗い店内の中央に据えられた生け花?大きな鉢に入れられた枝模様、その周囲には水が張られている。そのまわりをぐるり取り囲むように石造りのカウンター。

なんだこれは…。きっと初めて訪れた人は皆そう思うであろう。新感覚もなにも、もはや旧来の立ち食い蕎麦屋の域は超え、というかちょっと意味がわからない。けども、嫌いではなくって面白い。立ち食い蕎麦界に新たなベクトルを持ち込んでいることはまちがいなく、空間演出の妙が非常に楽しい。

入り口から奥に向けて行列ができている。入り口でまず注文をして、レシート的食券をもらう。今回は「冷たい肉そば」を注文。徐々に席(スペース)があいてくると列がすすみ、奥のカウンターに食券を出す。しばし待った後、いよいよ蕎麦とご対面。

気付いたのが、店員さんたちの接客が非常に良いこと。きちんと客の動向に目が向けられており、これもまた行列になるひとつの理由だろう。空いたスペースに案内していただき、さて実食。

なるほど、美味い。腰が据わった美味さ。いわゆる「蕎麦」を食べるのとは違い、「二郎的」と揶揄されるのもわかる。「すする」ではなく「喰らう」。固めの太麺を、旨みの深いつゆにひたしてわしわしと食べることの快楽。もちろん今まで知っている蕎麦ではあるんだけど、その幅・範囲を押し広げている。蕎麦ジャンルが開拓されている。だめですよ横田さん、こういうの教えちゃうのは。

カウンター近くには卵と揚げ玉が置かれ、自由に入れることができる。周囲にはひたすら蕎麦を喰らう人たち。水を打った中心に据えられた生け花を取り囲んで「喰らう」行為を繰り返す、主にサラリーマンたちの姿は非常に面白い。というかシュールだ。喰らうことを観賞しながら、しかし美味しいのでただひたすら喰らうことに没頭しながら。

というわけで、なかなか大量の蕎麦を食べるのは困難だろうと思っていたが、意外とペロリと食べつくした。

六本木へ戻る自転車路の身体の重さに加え、職場についてからしばらく仕事にならず、すっかり気を失っていたことは否めなかろう。

おすすめです。折をみてまた行きます。

そば処港屋

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