よりよくなりたい~原初的な欲求

「72時間」というNHKのドキュメンタリー番組で、現代ブラジルにて今でも行われている黒魔術の聖地を取材していた。不可思議な儀式を行い、さまざまな願いをかなえるとされる黒魔術。

黒魔術?今でもそんなことがあるのだろうか。と思いながら観ていたが、参加する人や祈祷師は、大真面目に儀礼をする。刻んだキャベツを頭からかけたり、手のひらにひと握りの火薬を置いて火をつけ、ぶわぁっと炎がのぼったり。なぜそんなことするの?と思うようなことをする。

それら行為自体は謎だが、誰しもが「よりよくなりたい」と思っていた。よくなりたいから黒魔術にすがる。不可思議な儀礼を行う祈祷師は、それでお金をもらうわけではなく、ふだんは大工仕事をしているのだという。人が幸福になってくれればよいのだと。

よくなりたいと思い、そのための行為・行動をするのは、幼い子供にも備わっている原初的な欲求らしい。結果はどうあれ、よくなろうと思って行動すること、その最中それ自体が幸福と呼べるのかもしれない。

ジャコメッティは毎日肖像画を描き続けては消していた。「昨日よりもだいぶ進歩した。でもまだまだだ」と言っては、今日描き上げた肖像画を消し、次の日はまた一から描きはじめた。その過程に生きていたと言えるかもしれない。

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