最初の鍵

Russian-key

数年前、旧共産圏国に行った時のこと。

 

滞在していた建物で入りたい部屋があり、鍵がかかっているので、その鍵を借りに、建物のフロントに行った。フロントの後ろの壁に沢山の鍵が掛けられたガラスケースがあり、鍵はそのガラスケースの中にある模様。そしてそのガラスケース自体に、鍵が掛けられている。

 

フロントの人いわく、ガラスケースの鍵を持っている責任者がまだ来ていないとのことで、鍵は開けられないと言う。ではその責任者はいつ来るのかと聞くと、「私はわからない。間もなく来るはずの職員が知っている」と言う。

 

その職員が果たしていつ来るのかわからぬまま待っていたが、職員はいっこうに現れない。待ちながら私は徐々に混乱してきて、「いったい私は何を待っているのだろう」という思いにかられた。私はただ部屋に入りたいだけなのだが、果たしてその最初の目的はなんだったのだろうかということを、思い出せない瞬間が訪れた。

 

「私は今、職員が来るのを待っている。職員が来たら、ガラスケースの鍵を持っている人がいつ来るのかということを聞く。鍵を持っている人が来たとして、ガラスケースを開けてもらい、入りたい場所の鍵を貰う。で、私はその開けられた部屋で、いったい何をしたかったのだろう?」

 

最初の目的を見失ってはいけない。何をしたかったのか、ということを手放してはならない。

 

 

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